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がんと宣告されてしまいました。残された人生をどう生きたらいいでしょうか?

腹痛に襲われ、身体に異常を感じたのが3カ月前。その後、精密検査を受けると、胃がんの末期との診断で、余命は1年と告知されました。突然の宣告に、「どうして私が?!」という憤りと不安でパニックに陥りました。葛藤しながらも、ようやく事態を受けとめられるようになったのですが、限られた時間のことを思うと、これからどうすべきかわからなくなります。

65歳男性・会社役員

私たちが今の人生を生きるだけではなく、永遠の生命であるという前提に立ち、病が届けている新しい生き方、考え方への「呼びかけ」を受けとめてゆく

高橋佳子先生
『いま一番解決したいこと』より一部抜粋・要約

大変な試練に向かい合いながら、こうして心の平静さを保っておられるということは、あなたはそれだけで勇気がおありになる――。末期のがんと告げられたら、誰でも自分を見失いかねない危機にさらされるはずです。底なしの闇に落ちてゆくような恐怖にも直面しなければならないでしょう。「どうして自分がこんな病気を引き受けなければならないのか」と、口惜しくてたまらない気持ちとやり場のない腹立たしさ……。一体この事態にどう向き合えばいいのか――。茫然自失の空白の時も続いたはずです。絶望感に苛まれ、一すじの光も見出せない日々に耐えて、初めて今のあなたがいらっしゃるのだと思います。

そのようなあなたに、多くの言葉は虚しく響かざるを得ないでしょう。私が今あなたにできることは、人間の生命の真実――人間が今の人生を生きるだけではない、永遠の生命を生きる存在であることをお伝えさせていただくことと感じます。


私が出会ってきた少なからぬ人々が、たとえ不治の病であっても、その深い試練の谷をのぞき込み、生命の瀬戸際で、虚飾の殻を脱ぎ捨て、大いなる存在へと托身してゆかれました。そして自らの心と世界との間の夾雑物が取り払われ、自由で素直な魂の本来の輝きを取り戻してゆかれたのです。


人は誰でもやがて死を迎えます。その定めを免れることはできません。誕生の門をくぐって始まった人生は、必ず死の門をくぐって幕を閉じるものです。同じ人生を永遠に続けることのできる人はありません。

しかし、それは一切の終焉を意味するものではありません。人間の魂は、1つの人生を終えても、ずっと生き続ける永遠の生命です。死の門をくぐる時が近づき、人生では経験したことのない場所に踏み込もうとしている今だからこそ、これまでと違う生き方ができる――。これまで取り組んだことのなかった人生の仕事を始める時を迎えているという受けとめ方もできるように思うのです。

あなたにとっても、新しい人生の次元を生き始めることを促されているときであり、その呼びかけを内包した病であることを深く知っていただければと思います。たとえ、時間は限られていても、そこに新たに生まれ出るものが確かにあることを信じていただきたいのです。

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