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娘が摂食障害になり、どうしていいかわかりません

高校1年生の娘のことで悩んでいます。幼いときからとてもしっかりした子で、希望していた高校にも合格でき、喜んでいたのですが、思うような成績が取れず、悩んでいました。さらにクラブ活動の友だちとの折り合いが悪くなったことがきっかけとなって摂食障害になってしまいました。どうしていいか、わからなくて……。家事も手につかない毎日です。

43歳女性・主婦

まずは自分の心を鎮める。そして、娘さんの気持ちを受けとめ、自分ができることから始めることで、娘さんを支えてゆくことを大切に

高橋佳子先生
『いま一番解決したいこと』より一部抜粋・要約

「手のかからないいい子だったのに、どうして急にこんなことになってしまったのだろう」「うちの子に限って、こんなことになるはずがない」……。思いも寄らなかった予想外の成り行きに、あなた自身が大変戸惑い、混乱を起こしていらっしゃるようですね。心の中がパニックになり、どうしていいかわからない。「どうしよう、どうしよう」という想いばかりが心の中をぐるぐると渦巻き、どこからどう手をつけていいかわからなくて困っておられるのでしょう。 確かに、大変ショックで、どんなにかつらく苦しい毎日かと思います。あなた自身が食事が喉を通らないような状態かもしれませんね。

けれどもまず、母親であるあなた自身がその困惑している心を鎮めることが大切です。娘さんの問題とあなたの問題。その2つがぶつかり合うと、問題は2倍にも3倍にも膨れ上がってしまいます。ですから、まず、あなたの問題を解決しましょう。慌てて、混乱した心で対応するなら、事態はかえって混乱することになりかねません。また、自暴自棄になって感情の嵐に呑み込まれれば、娘さんに対してもつい厳しく当たりたくもなるでしょう。それは、娘さんへの重圧をさらにかけてゆくことになり、改善への道とは逆行してしまいます。 とは言っても、このようなとき、自分で自分の心を鎮めることは容易ではないでしょう。静かに心を落ち着けることのできる場所を探し、小著『新・祈りのみち』の「不安と恐怖を抱くとき」を読んでみることも、きっとその一助になると思います。

もし、あなたが不安や恐怖心を鎮めることができ、事態を引き受ける覚悟ができたなら、問題は解決への第1歩を踏み出したと言っても過言ではないと思います。


今、娘さんは成績のことや友人関係の問題を抱えて、相当なプレッシャーがかかっている状態です。そして、娘さんも決してこのままでいいと思ってはいないはずです。摂食障害も何とかしなければならない。親の期待に応えるため良い成績も取らなければならない。友人関係も修復しなければならない……。一度にたくさんのことを解決しなければならないと思うあまり、心が焦ってパニックになってしまっていることでしょう。 その娘さんの気持ちをよく受けとめて差し上げていただきたいのです。


そして、娘さんの気持ちを受けとめて差し上げるのと同時に、あなた自身から具体的に「私が変わります」を実践してみていただきたいと思うのです。たとえば、「家事も手につかない」とおっしゃっていますが、掃除や洗濯、そして料理などが疎かになっているということはありませんか。

あなたには娘さんの摂食障害を直接治すことはできなくても、掃除の行き届いた気持ちの良い環境を整えることはできます。心が混乱し、パニックになってしまったことによって、混乱してしまった環境を1つ1つ建て直してゆくこともどれほど大切でしょうか。 また、摂食障害の娘さんのことが心配なあまり、他のお子さんやご主人との間に亀裂が生じてはいないでしょうか。そうした家族の関わりも、あなたが変わることによって変えてゆくことができることです。あなたが暗く重い表情でなく、明るい笑顔を取り戻し、爽やかな雰囲気で人と関わり、生活の1つ1つに向かっている姿は、娘さんにとっても何よりの励みになるのではないでしょうか。娘さんに変わってほしいと望む前に、あなたから始められることがたくさんあると思うのです。


そして、摂食障害にも軽度から重度までありますが、いずれにせよ、なるべく早く信頼のおける専門医に相談し、きちんと治療をされることも同時に必要です。心の問題だからと放置しておいたり、自己流の治療を施すことは危険です。

娘さんの回復とともに、この事態をきっかけとして、親子、そしてご家族が本当に心を開いて語り合うことができ、深い絆が結ばれますよう、心からお祈り申し上げます。

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