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高校1年の息子が遊んでばかりで、悩んでいます

高校1年の息子がいる母親です。せっかく勉強して進学校に入ったのに、息子は勉強もせず、友だちと遊んでばかりで……。注意しても、暴言を吐いて、自分の部屋に閉じこもってしまいます。どのように関わればいいでしょうか?

41歳女性・会社員

自分の関わりが子どもをそうさせていることに気づき、それを変えていったら、子どもがまったく変わってしまいました

落合順一さん
CGデザイナー
59歳 東京都

私には、息子と娘がいます。下の娘は、周りからもかわいがられて、私もほとんど怒ったことがなく、子育ては妻に任せてノータッチでした。そんな娘の大学受験不合格から始まり、親子関係、さらには夫婦の問題と、家庭の中がとても混乱し、八方塞(ふさ)がりの状態に陥りました。

しかし、私自身の関わりを見つめ直し、心を転換したとき、娘との関わりが変わり、娘は大学に合格、家族の絆も深まりました。

お子さんとの関わりのヒントになることを願って、私の体験をお話しします。


娘は、小さい頃から美術が好きで、高校1年の2学期からは、「美術系の大学に入りたい」と希望し、美術予備校に通っていました。しかし、勉強は嫌いで、遊んでばかりの毎日だったんです。そんな状態で、最難関の国立芸術大学1本に絞り、受験。デッサンなどの実技はともかくとして、学科の方は歯が立たず、案の定、1次試験で不合格となり、浪人を余儀なくされました。

学力を何とかしなければと娘と一緒に訪ねた学習塾では、先生から、「偏差値を上げることは約束できません。この学力では私立の美術大学も難しいと思います」と言われてしまいました。


それまで、「子どもたちはそれぞれ自由にやればいい」と思っていた私も、「さすがにこれはまずい」と思い、週2回、娘の勉強を見るようになりました。

それでも、遊び癖がついていた娘は、予備校の帰りに「友だちとご飯を食べてくる」などと言っては、夜遅くに帰宅することも多く、一向に勉強に身が入りませんでした。

妻からは「お父さんが、もっと関わらなきゃ駄目じゃないの」と厳しく言われ、ほとんど毎日のように妻との間で口論になり、妻と娘も言い合いが絶えず、家族の関係そのものがぼろぼろのありさまでした。

そんな一番苦しい時期のことです。高橋先生が私に声をかけてくださったんです。高橋先生は、父親の私が「それぞれ自由にやればいい」と考えていたことが、実は子どもたちの心の強さを育てない結果になっていたことに触れ、こう語られました。


「それは、間違った自由主義です」「ずっと娘さんの『苦』(苦しいことや大変なことなど)を取り除くように関わってきましたね」「そのことで、子どもが『楽しいことが良いこと。世界が何とかしてくれる。きっと何とかなる』と考えるように育ててしまいましたね」


高橋先生のお言葉に胸を突かれた私は、「止観シート」(高橋先生が考案された、心を捉えるためのメソッド)に真剣に取り組み始めました。そのうち、「本当に私のこれまでの関わりが、娘をそうさせてしまったんだ」と、後悔が身に沁みて感じられてきたのです。


すると、不思議なことに、娘は勉強が終わっても私の部屋に残って、いろんな話をするようになりました。

そして、娘は、「デッサンのとき、メンタルが弱いとうまくいかないんだよね」と心と現実のつながりを話し出したのです。

私は、「『止観シート』こそ、今、娘に必要不可欠なものだ」と思い、「『止観シート』は、心をつかんで変えられる。そうすると現実も変わるんだよ」と「止観シート」の効果を伝えてゆきました。

すると、「私、『止観シート』をやってみたい!」と娘から言ってきたんです。

初めて「止観シート」に取り組んだ娘は、何か壁にぶつかると、「自分にはできない。無理」とあきらめ、そのうち、「まあ、いいか。いつか何とかなる」とすぐに気持ちを切り替えて、その後、何も対処しない。その結果、また壁が来るということを繰り返してきたことを発見しました。

娘は、「自分の弱い部分を見ているはずなのに、何でうれしいんだろう?」と不思議がりながらも喜んでいて、そんな娘を見て、私もとてもうれしかったです。

その後も娘は、勉強をしながら、「止観シート」に取り組み続けました。

試験前日は、デッサンの試験で、条件が悪い席になった場合をあらかじめ想定した「止観シート」に取り組みました。「苦手な石膏、苦手な光、正面の席、うまい人の隣」という苦手な条件になったとき、どういう気持ちになり、どこでその想いにストップをかけるか、そしてそれにどう行動するかということまで決め、落ち着いて試験に臨むことができたんです。

その結果、前年、不合格だった国立芸術大学の1次試験に通り、学科が問題と考えていた私立の美術大学の3つに合格しました。

残念ながら、国立芸術大学の2次試験には不合格でしたが、今は私立の美大に元気に通っています。

この受験期間、家族の間で様々なことが噴き出ましたが、それぞれが自分の心を見つめ直し、変えてゆくことを体験し、本当にかけがえのない期間になりました。

何より、一番の宝は、娘との信頼関係を育めたことです。家族全員で心を開いて話ができる今は、3年前からはまったく想像もできない現実です。「『魂の学』によって開く道は、自分なりの現実の開き方とはまったく違っていた」と実感しています。

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