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【日々の疑問】こんな自分にも生きる意味があるのでしょうか?

ふとしたときに、「自分は生きていても意味がない」と思うことがあります。10代の頃に東京に出てきて、専門学校を卒業してから就職し、何度か転職もしました。気がつけば30歳になっていました。私は特に夢も趣味もないですし、培ってきた技術や能力があるわけでもありません。別に、死にたいわけではありませんが、「自分が生きていても意味がないなあ」と思ってしまいます。こういった想いは、どうしたらいいのでしょうか。

38歳男性・会社員

編集部より
人生のふとした瞬間に、「何のために生きているのかわからない」「自分が生きていても何の意味もない」という想いに襲われ、まるで心にぽっかりと穴が空いてしまったかのように、自分の人生に虚しさを感じる――。こうした体験をしたことがある方は、少なくないかもしれません。
「魂の学」から見れば、1人ひとりの人生は唯一無二のものであり、その人にしか果たせない使命があります。そして、「魂の学」は、1人ひとりの使命を生きる道を解き明かしています。高橋佳子先生の著書の中から、ご質問に関連すると思われる箇所を一部抜き出してご紹介いたします。

誇れるものを何も持っていないというあなたへ

高橋佳子先生
『人生で一番知りたかったこと』より一部抜粋・要約

人生に生きる意味を見出せない。未来に希望が持てないと思う……。今、そうしたそこはかとないニヒリズム(虚無感)やあきらめを多くの人々が感じています。かつて、貧しさや病、争いといった悲しみや苦しみに対する虚無感に覆われた時代がありました。今日もまた、物質的な繁栄の影で見えにくくはなっていますが、時代の上に虚無の暗雲が垂れ籠(こ)めていると言えるのではないでしょうか。

家柄、生まれ、容姿、才能、服装、持ちもの、職業、会社、収入……。私たち現代人は、あらゆることを比較せずにはいられなくなっています。それで一喜一憂し、自分が自分であることの証明さえも、他人との比較によって成り立っています。常に勝つために意固地になってエネルギーを注ぎ続けるのも、「もし、負けたら」という不安の裏返しです。絶えることなく繰り返される比較の中で揺れ動き、競争に疲れ、また負けることを恐れてしまった人たちは、無気力にならざるを得ません。自分の中から、生きようとする力が出てこないのです。

また、過剰な情報の中で比較を始めれば、自分がいかにちっぽけで、力のない存在なのかが見えてしまいます。すでに子どもの頃から、人生を見限るような想いが生まれ、自分の中や人の中にあるものを信じることができない。そのようなニヒリズムの空気が世の中を覆っています。

「人生を振り返っても、悪いときばかりだったとしか思えない。できれば、生まれ変わりたい」「もし、別の人生を生きられるなら、少しはましな生き方ができるだろうに」と思っている人もいます。「自分には、誇れることなど何もない」「どうせ誰にも自分の気持ちなんかわかってもらえない」「こんな人生は駄目に決まっている」……と。中には、世間から、社会から、はっきりと「無価値」「失格」の烙印(らくいん)を押されてしまったと感じている人々もあるでしょう。

もしあなたがそのように感じて、苦しんでいる1人なら、あなたは宇宙で唯一の存在であることに想いを馳せていただきたいと思うのです。

宇宙広しといえども、あなたという人はただ1人しかいません。あなたが人生で出会う人々や出来事も唯一のものです。たとえ他の人が同じような出来事に出会ったとしても、あなたとまったく同じ感じ方、受けとめ方、応え方をする人はいないでしょう。さらに、その出会いや出来事の中であなたが抱いた想いは、決して消し去ることのできないかけがえのないものなのです。

生まれてきたのは間違いではないかと思っていた。生まれてきても、何の役にも立てない自分だと思っていた。自分の人生は、意味がないと思っていた。そのようなあなたに、あなたを生み出した宇宙はこう語りかけています。

「あなたはかけがえがない。そのままであなたは十分に生まれてきた価値と意味がある。生まれてきてよかった」と。

あなたがいる。あなたが生きる。あなたが歩む。あなたがはたらく——。そのこと自体が尊いのです。


そして尊いばかりでなく、たとえどんなに弱く、未熟な自分であろうと、あなたにはかけがえのないはたらきが託されています。

宇宙に流れる無限のいのちのことを思ってください。宇宙にある一切の物質を生じさせ、一切の物事を縁起(えんぎ)させ続けるいのちの流れ——。その中で、あなたにしか流れ込まないいのちがあります。あなたにしか引き受けることのできないいのちがあります。自分にしか咲かせることのできない花。自分にしか証すことのできない真実——。それを私は宇宙の中で自らが引き受けるいのちの流れ——「自業(じごう)」と呼んできました。

自分の人生を愛することは、自分のかけがえのなさに目覚めることだと思います。愛することは、決して美しく魅力のあるものだけを大切にすることではありません。たとえ、醜くても、劣っていても、価値がなくても大切にできることです。それは自業を抱いた自分を大切にすることであり、自らの自業を愛することなのです。

比較の世界で、1番・ナンバーワンになることを追い求める生き方は、常に他を意識せざるを得なくなります。自分に忠実であるより、他に大きく左右されてしまいます。

他との比較をやめて、内なる声を聴き、その声に忠実に生きてゆこうとし始めるとき、私たちは、少しずつ自業に目覚め、自業に応えて生き始めるようになります。自分が求めるべきものが、オンリーワンとしてのかけがえのない生き方であることがわかってくるからです。他人と比較する必要はありません。あなたにはあなたにしか、生きることのできない人生の道がすでに開かれていることを知っていただきたいのです。