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夫の不倫に悩んでいます

ある日、たまたま机の上に置いてあった夫の携帯電話の受信履歴を見てしまいました。すると、女性とメールを頻繁にやり取りしており、その内容から不倫であることがすぐにわかりました。結婚して3年、共稼ぎで多少のすれ違いがあったとはいえ、愛してくれていると信じて疑わなかったので、その瞬間、目の前が真っ暗になりました。夫を問いただすと、不倫を認め謝りました。「関係は断つから許してほしい」と懇願されましたが、私としては裏切られたショックで、悔しくて仕方ありません。子どものいない私たちにはもう離婚しかないのだろうか、と思い始めています。

35歳女性・会社員

2人の原点を思い出し、「不倫」という結果を生んだ背景を辿ることが大切です

高橋佳子先生
『いま一番解決したいこと』より一部抜粋・要約

あなたとすれば、愛し合って結婚したご主人が、自分以外の女性と付き合っているなどということは、想像すらできない青天の霹靂(へきれき)であったに違いありません。そして、今まで大切に築き上げてきた愛情も信頼関係も、その瞬間、脆(もろ)くも崩れ去ってしまい、「何を信じたらいいのかわからない。もう絶対に信じられない」と固く心に誓うほどに、それは到底、許すことのできない裏切り行為と映ったでしょう。
そんなあなたにとって、すぐにも「離婚」という結論を出さずにはいられないというのが、正直なお気持ちかもしれません。 でも、少し待っていただきたいのです。事実をまだ十分に把握し切れていない現段階で、感情に流されて性急に判断するのは危険です。あなたが今どのような判断を下すのか、それはあなたにとっても、あなたのご主人にとっても、これからの未来に少なからぬ影響を与える、極めて重大な選択になることを思ってください。
かけがえのない人生の選択を確かにすることができるように、まず心したいことは、現実を正しく受けとめること。中でも感情と事実を分けて考える、ということです。


……素直な気持ちでこの事態に向き合う気持ちが定まれば、きっとあなたの中に見えてくることがあるはずです。
あなたが、不倫の事実を知ってこれほどショックを受け、「裏切られた。もう信じられない」と思ったということは、それだけあなたがご主人を深く愛していたからでしょう。「2人の愛は生涯変わらない」と思うほどの確信があるからこそ、そこまで悲しみも深かったということ。あなた自身の中にあるその本当の願いを、ぜひとも思い出していただきたいのです。
……決定的な亀裂に至る前に、もう一度原点に戻ることを大切にしたいのです。そして、なぜそのように2人の間に溝ができてしまったのか、なぜご主人が不倫に走ったのか。結果としてそうなったということは、当然のことながら、そこに至る原因があったはずです。そのプロセスとなっている3年間の結婚生活を、まずあなたなりに振り返ってみてはいかがでしょうか。
……ここで大切なのは、2人の夫婦生活を、あなたの立場から振り返るのではなく、善意なる第三者の立場に立って見つめようと心がけること。一方的にご主人の問題を挙げ連ねたり、逆に自分が悪かったといたずらに自分を卑下する立場から見つめるのではなく、あくまでも、あるがままに見ようとすることを大切にしていただきたいのです。


愛し合って結婚した2人の間に、なぜ溝ができてしまったのか。ここまで振り返ってゆく中で、ご主人を一方的に責める想いだけではなく、あなたの中に、たとえかすかであっても、「ご主人に申し訳なかった」という後悔の気持ちが湧いてきたなら、私は、2人の夫婦生活をもう一度やり直す機会を考えた方がよいと思います。
お聞きしていると、まだあなた自身の正直な気持ちをご主人には伝えていない段階であり、また、ご主人の気持ちもほとんどわかっていないというのが現状でしょう。
ならば、結論を急ぐ前に、あなたとしてできることはとことん尽くすことです。あなた自身が本心を思い出し、そしてご主人との関わりの中で「足りなかった」と思う点は改め、まずはあなた自身が変わって、誠心誠意、ご主人に関わり続けていってはいかがでしょうか。まだまだできることは、たくさんあるはずです。
そしてもちろん、ご主人にも変わっていただかなければならない点は多々あるでしょう。第一にご主人も深く後悔しているということですが、これ以上不倫関係を続けることは、あまりにも多くの方を傷つけ、何よりも自分自身をも傷つけることになると思います。そのことをよく理解した上で、不倫関係を清算することはまず先決です。そして、互いの気持ちをもっと深く受けとめ合い、愛と信頼を恢復してゆくためにも、夫婦で語り合う時間をもっと増やしてゆくことが大切でしょう。
あなたとして為せることを為し、尽くすべきを徹底して尽くすことを、今はまず考えてはいかがでしょうか。半年なり1年なり、時間を区切ってもいいかもしれません。そのように徹底して尽くした上で、なお、2人の溝が埋まらないということであれば、結婚生活そのものをもう一度考え直すということもあるかもしれません。
何億、何十億という人が生きているこの世界で、夫婦としての契りを交わすこと自体、ご主人とあなたとはどれほど深いご縁で結ばれた魂であることでしょうか。そのかけがえのない出会いのいのちが成就するために、何を大切にし、何を捨てなければならないのか――。あなた自身が悔いなき人生の選択を果たせるようにと、心から願っています。

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