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初めての仕事でみじめでつらい日々を送っています

会社経営をしていた主人と離婚しました。経営が難しくなっており、慰謝料も十分にはもらえませんでした。私は大学を卒業してすぐに結婚したので、就職の経験はありません。 でも、思い切って働こうと決心し、不況の中、アルバイトの仕事をようやく見つけたのですが、なにしろ初めての経験で何かと不手際も多く、私より若いオーナーに注意されっ放しです。みじめでつらい日々ですが、さりとて辞めてしまうと生活にも困るし……。どうしたらいいか分かりません

46歳女性

試練はあなたを変えるチャンス――あるがままのあなたからの出発を

高橋佳子先生
『いま一番解決したいこと』より一部抜粋・要約

40代になってから初めて働くことになられたとのこと。慣れないことばかりで、どんなにかご苦労も多いことでしょう。これまでなら社長夫人として、ご主人の会社の社員の皆さんはあなたのことを何かと大切にしてくださったでしょうし、少々の無理も聞いていただけたのではないでしょうか。

そのような境遇にあったあなたからすれば、あなたより若いオーナーから1つ1つ注意をされるなどということは、耐え難いことだろうと思います。そして、それ以前に、アルバイトで働きに出ると決断したこと自体が、あなたにとっては、まさに清水の舞台から飛び降りるような気持ちだったのではないかと推察します。

あなたの相談を伺い、私には、あなたがそのように「アルバイトで働く」と決断をしたこと自体が、実はあなたが意識している以上に、あなたの人生にとって大きな意味を持っているように思えました。きっかけは、「これからの生活のことを考えると、まだ身体が元気なうちに思い切って働きに出ようかしら」といった想いだったのかもしれませんが、あなたのこの決断は、「新しく人生を生き直したい」という意志表明のように思えてならないのです。

あなたが20年以上続いたこれまでの生活を捨てても離婚されたということは、よほどの決意があってのことでしょう。ならば、どんな試練も引き受ける覚悟も持っていらっしゃるのではないでしょうか。


今までご主人に庇護されてきたあなたが社会に出て、それも慣れない仕事を始めるならば、いろいろな試練に直面するのは、ある意味では当然のことと言えます。確かに若いオーナーから事細かに注意されるというのはつらいことでしょう。しかし、そのつらさはどこから来ているのでしょうか。

そのようなつらいときだからこそ、自分の内側にどのような想いが動いていて、苦しみがどこから来ているのかをしっかりと見据えることが大切です。そこにあなたの抱えている人生のテーマがあり、乗り越えるべき点があるかもしれないからです。

あなたの心を苦しめているのは、自分より若い人から注意されることによる屈辱感でしょうか。そうであるならそれは、自分の中のプライドゆえの苦しみということです。あるいは、できない自分を見なければならない惨めさでしょうか。「こんなに自分が何もできないとは思わなかった。もう駄目だ」という自己卑下の想い……。

私が知るある女性は、やはりあなたと同じように社長夫人として何十年もの歳月を過ごしてきたのですが、ご主人が突然病気で亡くなり、60歳を超えてから働きに出られました。そして、慣れない仕事でつらい日々を送っていたとき、自分を見つめることで大きな転換を経験されたのです。そのきっかけとなったのは、ご自身の心を見つめる中で、「どうせ私は駄目」「もう耐えられない」といった自分を卑下する想いだけではなく、逆に相手を見下す想い、「優位」からものを見る感覚が同時に心の中にあったことに気づかれたことでした。「私は社長夫人だったのよ」「私の言う通りにしなさい」「あなたの言いなりには絶対にならない」……そんなプライドがあったら不整合が起こるはず、と得心され、初心に返って素直な気持ちで、ひたむきに仕事に向かい合った結果、上司との関わりも変わり、仕事に生き甲斐を見出すことができるようになってゆかれました。

試練が起こったら、まず心を点検し、転換し、具体的に新しい生き方にチャレンジする――そのような生き方の中から、あなたもきっと新しい道が見出せるはずです。

新しいチャレンジは、確かに苦しみも伴います。しかし、自分を変えてゆく絶好のチャンスです。

苦しいときには、「このままの自分でいたいのか、自分を変えてでも、新しい自分になりたいのか」と自らに問いかけてみてください。そして今、人生を経験している魂としてのあなた自身を想っていただきたいのです。魂は新たな経験をすることで成長し続けます。あなたは成長することができる。その自分を信じていただきたいのです。

さらにこう考えてください。鍛えてこなかった筋肉を使えば、肉体も疲れ、苦しい想いもします。1キロしか走った経験のない人が数十キロも走れるようになるためには、どうしても鍛錬の期間が必要でしょう。心の筋肉も同じです。鍛錬を続けるなら、やがてかつて耐え難かったことも難なく耐えることができるようになり、コントロールできなかった心も調御できるようになります。

プライドも捨て、卑下する想いも捨てて、あるがままのあなたとして出発すること。そして、どんな試練をも乗り越えてゆけるだけの逞しさを育てていっていただきたいと、心から応援したい想いです。

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