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時の羅針盤・171

時の羅針盤・171

王道を歩む

高橋佳子


何が与えられるのか

GLAでは、5月から6月にかけて、3つの「層別セミナー」(*1)が開催され、八ヶ岳を中心として全国各地で3日間にわたる研修が繰り広げられます。

普段、忙しい日常生活の合間を縫って集いに参加されたり、「生活実践」(*2)や「グローバル・ジェネシスプロジェクト(GGP)研鑽」(*3)で学ばれたりしている皆さんが、3日間という時間、同じ志を抱く仲間と共に、「魂の学」(神理)(*4)を集中して学ぶ機会です。

今年は、私たちの心の回路──「煩悩地図」(*5)について理解を深められるように、基本的なプログラムを用意させていただきました。最初の「青年塾セミナー」から、「自分の心の傾向がここまでわかったのは初めて」「今まで、どうして人と理解し合えなかったのかがわかった。これからは新たな関わりができそう」……等々、大きな反響を頂いています。

今月は、これらのセミナーにちなんで、私たちが「魂の学」を学ぶとはどういうことなのかを改めて考えてみたいと思います。

先ほどの反響は、もし3日間、「魂の学」を真剣に学ぶことができるなら、人生を転換できるほどの変化を体験できるということを意味しています。そして、そのような大きな発見や人生転換の手がかりを得られたという実感は、今回の「層別セミナー」の特徴ではありますが、それは、セミナーだけによってもたらされるものではありません。

「魂の学」と出会った皆さんが、もし真剣に学び、実践を重ねることを1年、2年、3年と続けてゆくなら、すべての人が必ず新たな人生の現実を手にすることができると私は確信しています。

人生の王道を歩む

考えてみるなら、人生を生きるということは、私たちが何となく考えている以上に大変なことです。

誰もが、気づいたときには、自分の与り知らぬ様々な条件を背負って、すでに生き始めています。しかも、その条件のすべてに気づくこともできず、3つの「ち」(血・地・知)(*6)の影響に支配されてしまいます。

そして、自分の中に確固たる中心をつくれぬまま、次から次にやってくる事態に「お前はどうするのか」と迫られ、生まれ育ちのままの尺度によって、「よかれ」と思う選択を繰り返す──。それでは、確かな人生を築くことなど、困難きわまりないことです。

なぜなら、それは、まるで何の脈絡もない出来事が散らばり、自分が「よかれ」と思う経験を次々に散乱させているようなものだからです。その中で、失敗なく人生を歩める人は、まずいないでしょう。

否、多くの人は、どこに歩むべき道があるのかもわかりません。そして、進むべき道を誤ってしまえば、暗転の下降が始まる──。それを押しとどめ、何とか持ち上げようとしても、なかなか持ち上げることはできません。元に戻ることだけでも大変なことです。

その試行錯誤に、どれほどのエネルギーと時間を費やすことになるのか──。それは、計り知れないほどです。

「魂の学」を知り、それを学んで実践の時を重ねること。さらに、「生活実践」や「グローバル・ジェネシスプロジェクト(GGP)研鑽」で学ぶことは、その試行錯誤の時間とエネルギーをごく自然に最小化できるということにほかなりません。

それは、あらゆる人生の道を開くマスターキーを手にすることに等しいのです。その1つの鍵を持つことで、私たちはどんな障害、どんな試練、どんな難問であっても、その扉を開くことができます。それどころか、このマスターキーを掲げるならば、雑草が生い茂り、瓦礫が散乱して、どこに道があるかもわからない状況にあっても、進むべき道を見出すことができます。不可視の道が、私たちの前に明るく照らし出されてくるのです。

脈絡なく見える出来事と散乱する経験をひとすじの糸で結びつけ、そこに私たちが応えるべき「人生の使命」を浮き上がらせてくれると言ってもよいでしょう。

「魂の学」が究極のところ、私たちにもたらしてくれるもの──。それこそ、私たちが求めるべき「人生の王道」にほかなりません。私たちは、人生の不変の本質を貫く道──王道を歩み続けることを願った1人ひとりなのです。

2018.5.25

〈編集部註〉

*1 層別セミナー

大自然の春夏秋冬という四季がどの季節も取り替えることのできないものであるように、人生を構成する季節は、少年期、青年期、壮年期、実年期、老年期のいずれもが比べることのできない尊い光を発しています。「誕生の門」をくぐって現象界(この世)に生まれ、人生の季節を謳歌し、「死の門」をくぐって実在界(あの世)に戻り、時が満ちて再びこの世に生まれてくる。それは、生まれて始まり、死んで終わる直線的な人生観からは決して見えてこない新しい人生観──円環的人生観です。「層別セミナー」は、そうした人生の季節のそれぞれを生きる極意を学ぶことができるセミナーです。具体的には、青年層対象の「青年塾セミナー」(5月)、壮実年層・婦人層対象の「フロンティアカレッジ・こころの看護学校合同セミナー」(6月)、熟年層対象の「豊心大学セミナー」(5月)、親子対象の「かけ橋セミナー」(8月)があります。

*2 生活実践

1カ月に2回、2時間程度、住まいや職場が近くの会員同士で、5、6名程度のグループをつくって、「魂の学」の基本を学び合います。具体的には、高橋先生の著書や月刊『G.』連載原稿、講演映像、「止観シート」(心を見つめるためのシート)などを軸としながら、自らの心の傾向を見つめつつ、お互いの人生を語り合う中で、自ずと1つ1つの事態を受けとめるまなざしが深まってゆきます。

*3 グローバル・ジェネシスプロジェクト(GGP)研鑽

週1回、「魂の学」のフロント(最前線)の智慧を学びながら、プロジェクト活動(GLAでのボランティア活動)を通して、神理を体験的に理解できる、「研鑽」と「奉仕」が1つになった実践的な学びの場です。

*4 魂の学

人生を魂の次元から捉えるまなざしであり、人間の魂と世界を貫く真理=神理の体系のことを言います。形のある、目に見える世界を対象にしてきた「現象の学」に対して、形のない、見えない世界も含めた全体を扱います。
(著書『あなたが生まれてきた理由』13〜14ページより一部抜粋・要約)

*5 煩悩地図

「煩悩」とは、もともと仏教の言葉で、人々の心身を煩わし、悩ませる一切の妄念のことを指します。「煩悩地図」では、人生を暗転させる「4つの煩悩」の傾向として捉えます。「4つの煩悩」とは、人間の「怒り」や「不満」に象徴される「苦・暴流(被害者)」の傾向、人間の中にある「怠惰」や人に対する盲目的な「依存心」に象徴される「快・衰退(幸福者)」の傾向、「恐怖」や「否定的想念」に象徴される「苦・衰退(卑下者)」の傾向、そして「欲望」や人に対する「支配」に象徴される「快・暴流(自信家)」の傾向のことです。
(著書『運命の方程式を解く本』105〜107ページより一部抜粋・要約)

*6 3つの「ち」

すべての人が例外なく抱く人生の条件のことであり、両親や家系から流れ込んでくる価値観や生き方を象徴する「血」、国や土地・地域、業界・会社等から流れ込んでくる価値観や生き方を表す「地」、そして時代から流れ込んでくる価値観や情報を示す「知」のことを指します。
(著書『運命の方程式を解く本』116ページより一部抜粋・要約)