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時の羅針盤・178

時の羅針盤・178

始める

高橋佳子


新年の扉

明けましておめでとうございます。

2019年という新たな年の始まり──。

その扉を開いた今、あなたは、どのような想いを抱かれているでしょうか。すでに年の始まりにふさわしい1歩を思い描いていらっしゃるでしょうか。

昨年は先送りにしてしまった取り組み、挑戦してこなかったこと、継続をあきらめてしまったこと……。それらともう1度向き合い、再び1歩を踏み出してみることはいかがでしょう。

何をどのように始めようとするか──。ぜひ、そのことを考えていただきたいのです。

私たちにとって、時の流れは、以前と変わりなく連続するように、昨年から今年へと流れているように見えるでしょう。その流れに少しも隙間はありません。

しかし同時に、私たちが今、身を置いているのは、かつて1度も存在したことのない、新たな「始まり」にほかなりません。

虚空から新たに生まれてくる瞬間は、どんな経緯やしがらみからも自由で、清新な空気を運んできます。一切の過去の影響から自由な「始まり」が、そこにはあります。それは、過去がこうだからこうなるというものではない、あるべき姿にまっすぐに向かうことができる瞬間です。

だからこそ、「始まり」は、誰にとっても愛すべきものなのです。

想像もつかない可能性と不可能の逆転、過去の重力からの解放の瞬間だからです。

2019年のカオスに向き合う

それはまさに、新たな1年が、カオスとして私たちの前に立ち現れているということではないでしょうか。

思い出してください。

カオスとは、まだ形も輪郭もなく、結果も出ていない、混沌とした状態のことです。新たな年の現実は、まだ私たちの前に、何の輪郭も形も示してはいません。そこにある可能性も制約も明らかではなく、未知の状態です。

つまり、今年の現実はまだ青写真(*1)の次元にあって、具体的な輪郭を何も現していない──。

しかし、それでも、そのすべての可能性は、そこにあるものです。

確かなことは、私たちが1日1日を過ごし、様々な出会いと経験を重ねてゆくうちに、そのカオスは次第に形をあらわにして、結晶化してゆくということです。結晶化とともに、可能性と制約は明瞭になり、光と闇のいずれに傾くかも決まってきます。

もし、カオスに本来託されている青写真通りの結晶化を願うなら、私たちは、神理=「魂の学」によって歩むことです。

新たな1年のカオスを青写真に導く近道は、神理による生き方を深めてゆくこと以外にありません。1人ひとりの人生に授けられた目的と使命は、その王道によって、着実に成就の歩みを進めることになるのです。

GLA創立50周年の節目を生きる

今年、GLAは、創立から50周年の節目を迎えます。祖師高橋信次先生が、永遠の魂としての人間の真実を世に訴え始められてから半世紀──。

私たちGLAは、魂としての生き方を追求し、具体的な蓄積を重ねてきました。そこから、数え切れないほどの神理実践者を輩出している事実は、その確かな証となるものです。

唯物的な生き方が浸透し、人間の内面や精神を軽んじる傾向が顕著に現れている今日、神理=「魂の学」に基づく生き方の意義は、ますます大きくなるばかりです。

私たちは、これまでにも増して、「魂主義」という生き方を深め、あらゆる側面において、その道の強度と確度を高めてゆかなければなりません。

これからの共同体の歩みの中心に置かれるべきことは、まさにそのことです。そして、その成就は、何よりも1人ひとりの新たな始まりから生まれる歩みの進化によって、果たされるものなのです。

2019.12.21

〈編集部註〉
*1 青写真

どんなものにも青写真がある──。何かを実現しようとするとき、私たちはまず、そこには本来あるべき姿──青写真があることを思い出さなければなりません。そしてそれは、あらゆる場合に、求めるべき解答があり、そこにアクセス可能であるということを意味しています。言葉を換えるなら、どんな事態にも最善の道が必ずあるということです。
(著書『魂主義という生き方』147〜150ページより一部抜粋・要約)