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時の羅針盤・207

時の羅針盤・207

新しいリズムを刻む

高橋佳子


セミナーの季節

山梨県北杜市にある「GLA八ヶ岳いのちの里」──。

私たちにとって、人生の歩みが奉納される人生祈念館を擁する「魂の故郷」であり、同時に、永遠の生命を抱く魂の存在として、現象界の今を生きてゆくための生き方を学ぶ研修の場です。

今、八ヶ岳では、研修棟の建設が始まり、完成の暁には、300名の方々が新しい宿泊施設でセミナーを体験できるようになります。

GLAでは、毎年、5月から9月にかけて、この八ヶ岳いのちの里などで、5つのセミナー(*1)が開催されます。今年も、5月には「青年塾セミナー」「豊心大学セミナー」が実施され、6月には「フロンティアカレッジ・こころの看護学校合同セミナー」、7月末には「かけ橋セミナー」、そして9月には「八ヶ岳伝道者研鑽セミナー」が開催される予定です。

さらに、八ヶ岳開催ではありませんが、昨春からオンラインを中心に「『一日一葉』特別セミナー」(*2)が開催されています。今年は、拙著『ゴールデンパス』をテキストとして、それぞれが選んだテーマを解決し、創造するための「ウイズダム」(*3)の作成に取り組んでいる途上です。今、私たちの共同体は、セミナーの季節まっただ中です。

セミナーの神髄とは──神理体験

八ヶ岳で開かれるセミナーは、会員の方々にとっては、新たな生き方への大きな節目となる機会です。数日間、神理(しんり)づけになって、自らの生き方の次元を深めてゆくことができる時間です。

もともと、普段の生活の場を離れて、大自然の環境の中で会員同士の友情を深めながら、新たな生き方を学び生きることを願って開催されるのがセミナーです。そこには、せわしない都会の喧噪(けんそう)も、追い立てられるようなリズムもありません。自然のリズムに支えられ、宇宙の子である私たちが、その本来のあり方に戻って生活する数日間──。

新緑の季節から、生命成長の季節を通じ、大地の匂い、樹々の輝き、青く澄んだ空、満天の星々の下で、本来の呼吸と姿勢を取り戻しながら、数日間集中して、神理に基づく心の構え方、受発色(じゅはつしき)(*4)の使い方を学んでゆくことになります。

プログラムに従って、私たちは、神理の1つの側面を深く学んでゆきます。シートの取り組みやミーティングを通じて、今まで気づかなかった発見をしたり、プログラム後の仲間との語らいを通じて、心を開き、新たな生き方を経験したりしながら、神理の本質に迫ってゆきます。ただ神理を知識として学ぶのではなく、これまでバラバラに学んできたことをより深く実感し、それを1つの体験として自分の内側に刻むのです。

ご承知の通り、昨年初頭から世界を席巻するコロナ禍によって、私たちの行動は大きな制約を受けています。八ヶ岳いのちの里などでのセミナーや研修も例外ではなく、オンサイトの開催が制限を受け、オンラインを交じえての実施となっているのが現状です。

それでも、セミナーの本質、その意義は、変わることはありません。私たちが日常の生活時間を離れて、じっくりと自分自身に向き合い、神理を土台とする感じ方、考え方、心の使い方に没頭してみる。その中から、新たな生き方のきっかけを見出してゆくのです。

新しいリズムを刻む

大切なことは、私たちがセミナーの中で、新たな生き方のリズムに触れることです。そして、自らそのリズムを刻んでゆく、それを試してみることです。

地球では、それぞれ固有のリズムを抱く生命が、あたかもオーケストラの楽器のように響き合っています。私たち人間もまた、それぞれが固有のリズムを抱いて日々を生きていると言えます。

セミナーで触れるリズムとは、人間だからこそ生み出せる内外合一(うちそとごういつ)(*5)の受発色のリズムにほかなりません。

それは、もともと自宅で1人で取り組むことが基本の「『一日一葉』特別セミナー」の場合も、変わりがありません。

ぜひ、様々なセミナーの体験を通じて、私たちが本来抱いている生き方のリズムを取り戻し、心の深奥にある魂の響きを発していただきたい──。セミナーの季節の中にあって、その想いを強くするのです。

(この項、続く)

2021.05.28

〈編集部註〉

*1 セミナー

GLAには、それぞれの世代に特有の問題を解決し、人生を豊かに生きる智慧を学ぶ世代別のセミナーがあります。親子で学ぶ「かけ橋セミナー」(7月末)、青年世代のための「青年塾セミナー」(5月)、壮実年世代を対象とした「フロンティアカレッジ・こころの看護学校合同セミナー」(6月)、豊心世代を対象とする「豊心大学セミナー」(5月)です。また、会員の皆様のお世話を志す方々のための「八ヶ岳伝道者研鑽セミナー」(9月)も、開催されています。いずれのセミナーにおいても、高橋先生のご講演をお受けすることができます。

*2 「一日一葉」特別セミナー

高橋先生のご著書を主教材、ガイドブックを副教材として、「魂の学」の智慧を学んでゆくセミナーです。日々ご著書を読み深めながら、一日一葉──すなわち1日1枚、ガイドブックの袋とじを開き、バラエティに富んだワークに30分間取り組みます。合計40日間、週1回の一斉研鑽と週4回の個人研鑽というリズムで進められます。

*3 ウイズダム(因縁果報ウイズダム)

高橋先生によって考案された「因縁果報ウイズダム」は、因縁果報のまなざしによって様々な問題を解決し、新たな未来を創造するための智慧であり、メソッド(方法)です。まず、因(自分)に問題を引き寄せ、その因と縁(条件)が交わってどのように果報(問題)を生んでいるのか、その暗転循環のエネルギーの流れをつかみます。そして、因を変革し、縁(同志・原則・システム)を転換し整えてゆくことによって、次第に暗転へ向かうエネルギーは止まり、光転循環を生むエネルギーが勢いを増し、解決と創造への道をつけてゆくことができるようになります。

*4 受発色

「受」とは、私たちが現実(外界)に生じた出来事を心(内界)に受けとめる受信のことで、「発」は、受信を受けて外界に関わってゆく発信のこと。「色」は仏教の言葉で、目に見える現実──人のことも含めて事件や出来事、外界のことを言います。人間は、生きている限り、この「受発色」のトライアングル(三角形)を回し続け、たとえ無自覚であったとしても現実を生み出し続けているのです。
(『神理の言葉2012』66~67ページより一部抜粋・要約)

*5 内外合一

私たちの内側と外側の世界は、絶えずエネルギーが行き交い、分かつことができないほど相互に深く影響し合っています。私たちの内側にあるものは必ず外の世界に反映し、逆に、外界にあるものは必ず私たちの内界に反映する──。
(月刊『G.』2021年2月号「『魂の学』序説」10ページより引用)