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時の羅針盤・228

時の羅針盤・228

新たなサイクルを準備する

高橋佳子


サイクルをどう締めくくるか

3月は、年度の終わりの月──。1年というサイクルの中に用意された、もう1つのサイクルが締めくくられるときです。

わが国では、多くのものごとが3月で1つの節目を迎え、4月から新たな歩みが始まります。社会の中では、学校の年度、多くの企業や組織、国の会計年度も、4月に始まって3月に締めくくられます。

あなたが学生であれば、3月は1つの学年を締めくくり、次の学年に進級するとき。あるいは、卒業を目前にしている人もいるかもしれません。

会社などに勤めている人なら、4月からの異動や転職を前にしている人もいるかもしれません。新たに就職する人もいるでしょう。

つまり、3月は、これまでのサイクルを締めくくり、新たなサイクルを準備する月と言えるのではないでしょうか。

あなたにとっても、3月で区切りを迎えるサイクルがあるでしょう。それをどのように迎えるのでしょうか。

サイクルを考える

サイクルとは、状態が続けて変化する過程を経て、もう1度元の状態に戻ってくることを言います。

私たちの周囲には、サイクルがあふれています。まず、1日1日が、私たちにとって、1つのサイクルです。朝から始まり、学校や職場に行って、また家事をして夕刻を迎え、夜が来て眠りにつき、目覚めて再び朝を迎えます。

毎月1日から始まる月も、1つのサイクルと言えるでしょう。その月のサイクルを12回繰り返したときに訪れる1年というサイクルもあります。4月から始まり3月で終わる年度も、同じ1年の中で巡る四季も、1年というサイクルです。

私たちの人生もまた、1つのサイクルです。生まれて、学びながら成長し、学校を出て社会の中で仕事をしたり、研究を続けたり、家族を支えたりしながら、長い時を過ごし、やがて老いの季節を迎え、人生の旅立ちを迎えます。そして、私たちの魂は実在の世界に還り、再び生まれるときを待つことになるのです。それが人生のサイクルです。

もちろん、これだけではないでしょう。人との出会いと別れというサイクルもあるかもしれません。仕事で個々のプロジェクトに関われば、そのプロジェクトのサイクルを経験することになります。私たちが親しんでいるウイズダム(*1)には、ものごとのサイクルが含まれています。

重要なことは、私たちはその人生を通じて、常に重層したいくつかの次元のサイクルを生き、そこから何かを学び、吸収したり、自ら新たな現実を生み出したりして、それを人生の経験としているということです。サイクルに託された青写真(*2)を生きるとき、それが豊かな人生の秘訣となるのです。ぜひ、そのイメージをいつも心に抱いておいていただきたいのです。

サイクルは、ただ無機的に推移しているわけではありません。そこには、果たすべき何かがあります。1日のサイクル、1月のサイクル、1年のサイクルには、必ず果たすべき青写真があります。

そして、人生のサイクルの中で、私たちは何のために生きているのか、その目的を自ら見出し、果たすことをめざしているのです。

新たなサイクルを準備する

新たな歩みが始まる人にとって、今月はその準備をするとき──。

高校や大学に進学する。初めての就職で働き始める。転職し、新たな職場に勤め始める。新たな立場で働くという方もいるでしょう。

たとえ何も変わらないように見えても、新たな4月を迎えるということは、新たなサイクルが始まるのです。

その準備はできているでしょうか。

新たな場で取り組む仕事の基本的な知識を学んでおくことも、その一歩になります。

「魂の学」(*3)に親しんできた人なら、ウイズダムに取り組むことは、より大切な一歩となります。ウイズダムによって青写真に想いを巡らせ、願いと目的を定めることは、何よりも大切です。さらには、具体的な実行計画・アクションプログラムまでを描いて新たなときを迎えることは、盤石の準備となるはずです。

2023.3.1

〈編集部註〉

*1 ウイズダム(因縁果報ウイズダム)

高橋先生によって考案された「因縁果報ウイズダム」は、因縁果報のまなざしによって様々な問題を解決し、新たな未来を創造するための智慧であり、メソッド(方法)です。まず、因(自分)に問題を引き寄せ、その因と縁(条件)が交わってどのように果報(問題)を生んでいるのか、その暗転循環のエネルギーの流れをつかみます。そして、因を変革し、縁(同志・原則・システム)を転換し整えてゆくことによって、暗転へ向かうエネルギーは次第に止まり、光転循環を生むエネルギーが勢いを増し、解決と創造への道をつけてゆくことができるようになります。

*2 青写真

青写真とは、もともと建築や機械の設計図のことです。そこから転じて、ものごとの設計図、未来図を指すようになりました。私たちが実現することを求め、願っている現実の姿──。「魂の学」では、さらに、ものごとに秘められたイデア(理想形)、大いなる存在・神との約束という意味が込められています。
(著書『ゴールデンパス』136ページより引用)

*3 「魂の学」

「魂の学」とは、見える次元と見えない次元を1つにつないで人間の生き方を求めてゆく理論と実践の体系です。物質的な次元を扱う科学を代表とする「現象の学」に対して、物質的な次元と、それを超える、見えない「心」と「魂」の次元も合わせて包括的に扱おうとするのが「魂の学」です。それは、私自身の人間の探究と多くの方々の人生の歩みから見出された法則であり、「魂・心・現実」に対する全体的なまなざしによって、人間を見つめ、あらゆるものごとに応えてゆくことを願うものです。
(著書『最高の人生のつくり方』50ページより引用)