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時の羅針盤・213

時の羅針盤・213

今に感謝する

高橋佳子


2021年の締めくくり

コロナパンデミックによって、世界が様々な混乱に巻き込まれてから、早2年の時が過ぎようとしています。今年2021年も師走(しわす)に入り、1年の締めくくりの時を迎えています。

皆さんにとって、今年はどのような1年だったでしょうか。コロナ禍にあって、試練続きの1年だったという方は少なくないでしょう。

1日のほとんどを家に閉じこもることになり、GLAの集いへの参加もオンラインが基本で、プロジェクト活動もあまりできなかったという方も多かったと思います。

その中で、家にいる時間を使って、なかなか読めなかった本を読んだり、じっくりと自分自身を振り返ったりすることができたという方もいるかもしれません。

いずれにしても、大半の方にとって、大きな制限を受けた1年であったということは確かでしょう。そして、そのために何かしら残念な想いや後悔を抱えた1年となったのではないでしょうか。もし、そのような気持ちが心に刻まれているなら、その後悔を受けとめて、次なる年にその生き直しを願うことにしてはいかがでしょうか。

今年1年の私たち自身の歩みが、明暗のいずれかに傾くものであろうと、その締めくくりは大切にしたいものです。

新しい未来を想う

折に触れて申し上げている通り、私たち人間にとって、人生や生活に時の節目があることは大切なことです。その節目があるから、私たちはごく自然に自分自身の歩みを振り返り、また新たな期間に向かって心を整え、願いを新たにすることができます。

多忙な年末でも、2021年の歩みを振り返り、来(きた)る2022年の青写真を心に描く時間をぜひ持っていただきたいと思います。

私たちの今がそうなるには、そうなる理由があった──。そのことを振り返っておくことも、未来のための大切な一歩でしょう。

そして、現在の自分がどのような状態であろうと、また私たちが抱える現実がどのような状況であろうと、私たちは新たに未来を描くことができます。

2022年の青写真、そのあるべき姿とはどのようなものなのか、求めることができるのです。

青写真は、過去の延長線上にあるものではありません。それは、実在の世界に存在しているものであり、未来からやって来るものです。過去の経緯(いきさつ)がその青写真に制限を与えることはありません。

だからこそ、私たちは、今がどのようであろうと、本当にめざすべき未来を青写真として求めることができるということなのです。

今に感謝することから

そして、その新たな歩みに向かうために、忘れてはならないことがあります。

それは、現在の状況がいかなるものであるとしても、私たちはそれぞれの「今」に感謝する想いを刻んでいたいということです。

もちろん、今、試練の中にいる人も、逆境に置かれている人も、厄介な問題に巻き込まれそうになっている人もいるでしょう。そんな今に感謝するなんて、とても無理……。そう感じる方もいるかもしれません。

でも、皆さんは、その苦境の中でも、新たな立ち上がりを志しています。試練を何とか打開したいと願っている。新たな挑戦に希望を見出している。そのような「今」があるということに、感謝するところから出発しようということです。

なぜなら、今に感謝することは、未来に向かう土台を確かにすることだからです。皆さんを生かしてきた様々な因縁(いんねん)──つながりとエネルギーを引き受けるということが、感謝という心です。

今に感謝するとは、現在地に私たちを運んでくれた、すべてのつながりとエネルギーを感じ、その恩恵を噛(か)みしめるということです。そして、今に感謝するからこそ、そのつながりとエネルギーを未来に向かって解き放つことができるようになるということなのです。

その姿勢が、私たちにこれまでの経緯を締めくくり、新たなゼロポイント、出発点を用意してくれます。本当に新たな心で、次のステージ、新たな挑戦の段階に踏み出す準備が整うということなのです。

2021.11.24