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時の羅針盤・199

時の羅針盤・199

宇宙と響き合う

高橋佳子


1日の生活にも宇宙全体が必要

皆さんが普段暮らしているときに感じているスケールとは、どういうものでしょう。

多くの人々の現実、その日常生活は、通勤範囲が数十キロメートルでも、およそ半径5キロメートル程度といったところでしょう。つまり、ときには数百キロメートルや数千キロメートルの遠出をすることがあっても、基本的に私たちは数キロメートルから数十キロメートルの範囲の世界に生きていると言えるでしょう。

そんな私たちですが、今月は、「宇宙と響働する」ということを考えてみたいと思います。

「宇宙と響働する」と聞くと、「とてつもなく大げさな話」という印象を持たれるかもしれません。しかし、少し考えてみれば、私たちが毎日の生活を営めるのは、自分1人で可能になっているわけではないことがわかります。そこに地域社会があり、それぞれの国家が安定し、国際社会が一定の秩序を保っていることが必要です。そして、それが可能なのは、地球環境が人間の生命を支えているからであり、地球が太陽系の中で安定した運行を保っているからでしょう。

さらに、地球の運行は太陽系の安定、銀河系の秩序によって成り立っていて、銀河系の安定は他の銀河との相互的な秩序が保たれ、宇宙全体の運行に支えられているからと言えるでしょう。

私たちが日々、当たり前のように呼吸し、地上を歩くことができるのは、ほとんど意識することができなくても、その根底に宇宙のつながりとその法則に支えられている現実があるからなのです。

呼吸すること、歩くこと、誰かと話をすること、人と協力して何かをつくりあげること……。私たちが日々行っている、それらのどれ1つをとっても、宇宙という土台、その法則なしには果たし得ないことだということなのです。

逆に言えば、私たちは日々、その宇宙の力を大前提にしながら、その力を本当には生かせず、その何万分の1しか使えていないということです。だからこそ、宇宙の力と響き合う生き方があることを、ぜひ考えてみていただきたいのです。

宇宙と響き合う道がある

スポーツの世界に、宇宙との響き合いを感じさせるときがあります。どうしてこんなプレーが可能だったのか、奇跡のように思えるプレーが現実になるときです。

ゴルフで何ホールもバーディーを連続し、10メートルを超えるパットも沈めてしまう。サッカーやバスケットボールなどのチームスポーツでも、人間離れした技の連続で試合を支配してしまうということがあります。ドリブルで何度も相手の守備陣を抜き去ってしまったり、スリーポイントシュートを次々に連続して決めてしまったり、普通ならなかなかできないようなことを軽々と成功させてしまう……。

「ゾーン(超集中状態)に入っている」「フローの状態になっている」と言われるとき、その選手は、その人自身を超えて宇宙的な助力を得ているように見えます。

もちろん、スポーツだけの話ではありません。

後から振り返ったとき、「奇跡のような道すじをたどることができた」と感じることがあります。ラクダが針の穴を通るほど困難に思えたことが実現してしまうようなときです。

「どう考えても成就はむずかしいだろう」と思っていた交渉だったのに、自分の気持ちが定まり、考え得る最善の解決がもたらされる。

新たな製品開発が八方塞がりの状況で「万事休すか」と思われていたとき、思わぬ助力者が現れ、それを解決する鍵を与えられる。

期限までにいくつもの難題が持ち上がり、「とても実行不可能」と思われたのに、次々に扉が開いて導かれ、事業に道がついてしまう……。

自分に揺るぎない中心軸が生まれ、助力者が現れ、どこからともなく道が開かれる──。そのようなとき、私たちは、自分自身を超越して、宇宙と響き合っているのです。

ただ宇宙という土台の上に生きているだけではない。宇宙の法則、宇宙の力と共鳴し、そのエネルギーと力を生かすことができる──。

「魂の学」(*1)が求め、追求する生き方がここにあります。

「人間は魂の存在である」ということは、この宇宙のつながりと響き合いながら、宇宙全体と信と応えを繰り返しながら生きることができるということなのです。

2020.09.27

〈編集部註〉

*1 魂の学

「魂の学」とは、見える次元と見えない次元を1つにつないで人間の生き方を求めてゆく理論と実践の体系です。物質的な次元を扱う科学を代表とする「現象の学」に対して、物質的な次元と、それを超える、見えない「心」と「魂」の次元も合わせて包括的に扱おうとするのが「魂の学」です。それは、私自身の人間の探究と多くの方々の人生の歩みから見出された法則であり、「魂・心・現実」に対する全体的なまなざしによって、人間を見つめ、あらゆるものごとに応えてゆくことを願うものです。
(著書『最高の人生のつくり方』50ページより引用)