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時の羅針盤・196

時の羅針盤・196

器を満たす

高橋佳子


自らを知る力

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除されてから、早1月。皆様の日常は、どのように変わりつつあるでしょうか。

大きな制限を抱えた数カ月、テレワーク(在宅勤務)を導入した企業も少なくなく、ほとんどの方が外出自粛を余儀なくされる中で、それ以前とは異なる、外なる交流を控えた日常を営むことになりました。言うならば、私たちの生活の比重が、外側から内側に大きく転換するときとなったのです。

GLAでは、そのような状況を、自分自身に向き合うための最善の機会と受けとめて、「第27次グローバル・ジェネシスプロジェクト(GGP)研鑽(*1)」の発足と併せて、4月末から拙著『自分を知る力』をテキストとする「自分を知るための『一日一葉』特別セミナー」を2カ月にわたって開催させていただきました。

およそ1万6000名の会員の皆様が、「自分」について、そして人間について知る歩みを、毎日少しずつのワークとともに楽しく進めてゆく──。それは、私たちの共同体にとって、想像以上に大きな礎となるものです。
セミナーに参加されていない会員の皆様も、GLAのホームページ内に掲載されている「『一日一葉』特別セミナー」の特集ページをご覧いただくことによって、その様子を垣間見ることができます。それと併せて、もう1度、『自分を知る力』をお読みいただいてはいかがでしょうか。

発展途上人

私たちが自分を知る中で気づいてゆくのは、人は誰もが最初から完成した存在ではないということです。

誰もが、大きな可能性を抱きながらも、同時に、多くの不足や未熟、弱点を抱えている──。

小学校に上がる頃になれば、人は皆、その人らしい心の受信と発信の仕方を身につけるようになります。その後の人生を歩む中で、それを変化させながらも、ものごとの感じ方、受けとめ方、考え方、そして行動の仕方は段々、強固な型のようになってゆきます。

同じような刺激──同じような出来事や出会いがやってくれば、繰り返すつもりはなくても、いつもと同じ感じ方、受けとめ方をして、いつもと同じ考え方、行為の仕方によって、いつもと同じ現実を生み出すようになってゆきます。自分では気づかなくても、私たちはそうした独特の癖を抱いた生き方を表すようになっているのです。

自分自身について深く知れば知るほど、私たちは自らが抱いている可能性以上に、限界を感じるようになるかもしれません。

でも、それが最終形ではないというのが、「魂の学」(*2)の人間観です。

誰もが何もできない赤子の時代から出発し、少しずつ様々な生きる力を身につけてきたように、私たちは自分の心を成長させることができます。

生い立ちの中で、家族との不和や思うにままならない現実によって、どんな限界を抱えたとしても、その限界を1つ1つ乗り越えることができます。それだけではなく、その限界を抱えたからこその心の進化を果たすことができるのが、私たち人間なのです。

器を満たす

発展途上の私たちが大切にすべき生き方があります。それは、日々、自らのベストを尽くし、最善の生き方を重ねるということです。言葉を換えるなら、私たちが抱いているそれぞれの器に、光と力をいっぱいに満たすことを毎日連ねるのです。

私たちが限界を抱えているということ。それは、自らの器の大きさに限りがあるということです。しかし、私たちが自らの器を満たし続けるとき、ある日、その器が限界を超えて大きくなっているのです。

これ以上はできないというほど、頑張ってみる。これ以上はできないというほど、青写真(*3)を追求してみる。これ以上はできないというほど、事態を心配し、工夫と改善を重ねてみる。これ以上はできないというほど、試行錯誤を繰り返してみる……。
そんな歩みを積み重ねてゆくとき、ある日、私たちが抱える限界がふっと消えるときが来るのです。器が広がり、より多くの光と力で満たされる──。それが、人間の成長と進化の歩みなのです。

2020.06.24


〈編集部註〉

*1 グローバル・ジェネシスプロジェクト(GGP)研鑽

週1回、「魂の学」のフロント(最前線)の智慧を学びながら、プロジェクト活動(GLAでのボランティア活動)を通して、神理を体験的に理解できる、「研鑽」と「奉仕」が1つになった実践的な学びの場です。

*2 魂の学

「魂の学」とは、見える次元と見えない次元を1つにつないで人間の生き方を求めてゆく理論と実践の体系です。物質的な次元を扱う科学を代表とする「現象の学」に対して、物質的な次元と、それを超える、見えない「心」と「魂」の次元も合わせて包括的に扱おうとするのが「魂の学」です。それは、私自身の人間の探究と多くの方々の人生の歩みから見出された法則であり、「魂・心・現実」に対する全体的なまなざしによって、人間を見つめ、あらゆるものごとに応えてゆくことを願うものです。
(ご著書『最高の人生のつくり方』50ページより引用)

*3 青写真

どんなものにも青写真がある──。何かを実現しようとするとき、私たちはまず、そこには本来あるべき姿──青写真があることを思い出さなければなりません。そしてそれは、あらゆる場合に、求めるべき解答があり、そこにアクセス可能であるということを意味しています。言葉を換えるなら、どんな事態にも最善の道が必ずあるということです。
(ご著書『魂主義という生き方』147〜150ページより一部抜粋・要約)