言い訳宇宙

私たちが困難な事態に出会うと、すぐに「できない理由」が自分の内側から湧いてきて、あたかも宇宙に広がるブラックホールのように挑戦への意欲を吸い取ってしまいます。このとき、私たちの心が抱えているのが、「言い訳宇宙」です。

「〇〇だからできない」──。目の前に経験したことがないこと、また苦手な出会いや事態が起こると、私たちの心はこの「〇〇」に様々なものを当てはめてしまいます。「実力がないから」「忙しいから」「知らないから」「条件が整わないから」「経験がないから」「邪魔者がいるから」……。

このように、私たちの「できない言い訳」はどんどん湧き起こり、心の中に広がってゆきます。高橋先生は、このことを「言い訳宇宙」と命名されています。

この「言い訳宇宙」に心が捕らえられているとき、私たちは、「本当にできないゾーン」にあるものと、「できるのにしていないゾーン」にあるものを一緒にしてしまいます。「できないこと」に意識が釘づけになり、「できること」がたくさんあるにもかかわらず、それさえもしないようになってしまうのです。その結果、自分の中の「言い訳宇宙」を拡大させ、そこに存在するかもしれない可能性を自ら閉ざしてしまう──。

この「言い訳宇宙」は、大きな力で私たちを捕らえ、新しい生き方をしたいと願っても、いつもの生き方にとどまらせてしまいます。「言い訳宇宙」を心の中に抱えたまま人生を生きてゆくのと、「言い訳宇宙」を撃退し、抜け出した人生を歩むのとでは、まったく未来が変わってしまうのです。

出　典
『2つの扉』第7章「『する』を連ねる」
2016青年塾・収穫のセミナーご講演