
時の羅針盤・254
時の羅針盤・254
心を使う
高橋佳子
省力化しようとする人間
生命(せいめい)の季節とも言われる5月。風薫る時の中で、皆さんは、この成長の季節をどのように過ごそうとされているでしょうか。
生命(せいめい)の季節、成長の季節とは、生命(いのち)あるものたちが大きく変わる可能性を抱いている時──。ならば、今月は、私たち人間が抱いている可能性を広げてゆくために、それぞれに与えられた心を懸命に使うことの大切さについて考えてゆきたいと思います。
なぜなら、ともすると私たちは、生きることにおいて、すぐに省力化を図ろうとする傾向を抱えているからです。
「もうわかった」──そう思った瞬間、私たちは、それ以上、そのことをもっとわかろうとすることをやめてしまいがちです。
「これはこういうもの」──そう思い込んだ途端、私たちは、それ以外の見方をしてみようとは思わなくなるものです。
1度決めたわかり方、1度定めた生き方を繰り返すようになるのが、人間の性(さが)──。元来、それは、省力化によって生まれた余剰のエネルギーを、人生をさらに深く生きることに注ぐためです。でも、省力化してはいけないものまで省力化してしまったら、元も子もありません。
歩き方や歯の磨き方、掃除の仕方、料理の仕方などは、繰り返すことによって習慣となり、省力化できても、1つ1つの出会いや事態への向き合い方、人への関わり方は、省力化してはならないものです。
エネルギーを注ぎ、心を使う
訪れる出会いや出来事に対して、私たちは、常に初めて出会うときのように向き合うことを促されています。同じような出来事でも、繰り返してきた出会いでも、そこにはまだ遭遇したことのない現実が含まれています。
1つ1つの出会いや出来事と向き合うことは、いつでも新たな経験にほかなりません。そこには、今まで1度も実現されたことのない青写真(*1)が託されているのです。
「もうわかった」「これはこういうもの」という姿勢では、到底、その青写真を引き出すことはできないでしょう。そこに眠る新たないのちや可能性を掘り起こすこともできません。
出会いや出来事に対して、真摯な想いで向き合い、「この出会い、この出来事から私が引き出すべき青写真を教えてください」と祈り心で接すること──。そのとき、初めて私たちは、1つ1つの事態と向き合う準備を整えることができるのです。
何よりも、出会いの前に、事態に関わる前に、丁寧にドアをノックするように、そこに隠されている青写真を尋ねてみることが大切です。
私たちが青写真に近づき、それを実現するためには、そのことにエネルギーを注いで、懸命に考え、心を使うことが絶対に必要なのです。
神理を基とする「心の使い方」を学ぶ
5月の初めから、八ヶ岳いのちの里(GLA総合本部の研修施設)では、青年世代対象の「青年塾セミナー」を皮切りとして、世代別セミナー(*2)が始まります。
5月後半には豊心世代対象の「豊心大学セミナー」、そして6月には壮実年世代対象の「フロンティアカレッジ・こころの看護学校合同セミナー」、8月には子どもたちを中心に全世代が参加する「かけ橋セミナー」が開催されます。さらには9月、お世話役を中心とした各世代対象の「八ヶ岳伝道者研鑽セミナー」が開催され、今年の八ヶ岳でのセミナーは締めくくりを迎えます。
神理の研鑽を集中的に進める世代別セミナーの共通点は、八ヶ岳山麓という大自然の中で、日常のリズムを離れ、3日間、神理に根ざした時間を過ごすことです。
研鑽では、折々に仲間とのミーティングがあり、様々なテーマについて何度も語り合うことを通じて、互いの絆を深めてゆきます。そして、神理に即して自らの心を深く見つめ、そこで感じたことや気づきを言葉にし合うことは、これまでとは違う「心の使い方」を学ぶ時間でもあるのです。
人生の醍醐味は、まさに与えられた心の全体を使い切って生きることにあります。その新たな端緒を開くことができるのがセミナーの魅力であることは確かなことです。ぜひ、セミナーで新たな「心の使い方」を始めようではありませんか。
2025.4.27
〈編集部註〉
*1 青写真
青写真とは、もともと建築や機械の設計図のことです。そこから転じて、ものごとの設計図、未来図を指すようになりました。私たちが実現することを求め、願っている現実の姿──。「魂の学」では、さらに、ものごとに秘められたイデア(理想形)、大いなる存在・神との約束という意味が込められています。
(著書『ゴールデンパス』136ページより引用)
*2 世代別セミナー
大自然の春夏秋冬という四季がどの季節も取り替えることのできないものであるように、人生を構成する季節は、少年期、青年期、壮年期、実年期、老年期のいずれもが比べることのできない尊い光を発しています。「誕生の門」をくぐって現象界(この世)に生まれ、人生の季節を謳歌し、「死の門」をくぐって実在界(あの世)に戻り、時が満ちて再びこの世に生まれてくる。それは、生まれて始まり、死んで終わる直線的な人生観からは決して見えてこない新しい人生観──円環的人生観です。「世代別セミナー」は、そうした人生の季節のそれぞれを生きる極意を学ぶことができるセミナーです。具体的には、青年世代対象の「青年塾セミナー」(5月)、壮実年世代対象の「フロンティアカレッジ・こころの看護学校合同セミナー」(6月)、豊心(老年)世代対象の「豊心大学セミナー」(5月末〜6月)、親子対象の「かけ橋セミナー」(7月末〜8月)があります。