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時の羅針盤・238

時の羅針盤・238

「もう1人の自分」と歩む

高橋佳子


新しい自分として出発する

明けましておめでとうございます。

新たな年、2024年の始まり──。皆さんは、どのような気持ちで新しい年を迎えていらっしゃるでしょうか。

これまでもお伝えしてきたように、時の流れの節目は、私たちの人生においても大切な節目をつくります。新たな年の節目は、私たちの生き方を新たにする絶好の機会となるのです。

新しい年のスタートが新たな人生の始まりとなり、新しい自分として出発するときであることを、ぜひ想っていただきたいと思います。

そして、今年、何よりも私たちが新しい自分として意識したいのは、「もう1人の自分」と共に歩む私たちということです。

「もう1人の自分」を信じる

「もう1人の自分」は、私たちの中に息づく「魂」の存在です。もちろん、「魂」は、私たちと別の存在としてあるわけではありません。

しかし、その「魂」の存在を自分の中にいる「もう1人の自分」として意識することによって、それを際立たせ、新たな人生を始めるきっかけとすることができるのです。

私たちの心の奥には、まだ私たちが知らない自分が眠っています。それと意識するまでは、そこにいることさえ感じられない存在です。

けれども、その存在は、私たちの誰にとっても特別な存在なのです。

様々な問題や障害を抱えて一歩も動けないような苦しいとき、その苦しい想いを「もう1人の自分」に語りかけてみてください。「もう1人の自分」は、そのすべてを受けとめて励ましてくれます。どんなときも、「もう1人の自分」は、私たちの味方でいてくれます。

そして、「もう1人の自分」は幾度もの人生を経験し、多くの智慧を蓄えてきた存在でもあります。関わりのある知識を直接もたらすことはできなくても、私たちがなぜその出来事と出会っているのかを教え、その事態に向き合う姿勢をもたらすことができるのです。

心を通わせる人がいなくて、孤独の中で寂しさを覚えるとき、「もう1人の自分」を見出した人は、その存在がいつも傍らにいてくれることを感じるでしょう。自分が独りになっても、「独りではない」と感じることができるのです。

誰かと喧嘩してしまったり、対立してしまったりしたようなとき、「もう1人の自分」は親友のように、私たちに出来事を振り返るように促してくれます。時には私たちに対して切磋琢磨(せっさたくま)するように助言を与えてくれたり、自らの弱点を教えてくれたりもするのです。

そして、私たちが人生の中で繰り返す選択──。人生の岐路の前でどちらの道を選ぶべきなのか、私たちは迷いに迷うことがあります。その迷いの森の中で、「もう1人の自分」は、私たちが最善の道を選べるように、正しいガイドとして導いてくれます。

私たちの内なる「もう1人の自分」は、私たちを応援してくれる味方であり、私たちに寄り添う同伴者であり、私たちを切磋琢磨してくれる親友、そして私たちを正しく導いてくれるガイドでもあるのです。あなたの中には、そんな「もう1人の自分」が隠れていることを信じていただきたいと思います。

「もう1人の自分」と歩む

私たちの心と現実の関係は、不思議なものです。なぜなら、私たちが心で想うことは、必ず現実に影響を与えるからです。

心で想っていることは、心の中だけにとどまることなく、現実の世界に現れ、時に現実そのものになってしまうことさえあります。

だからこそ、新たな年において、あなたの内なる「もう1人の自分」のことを強く想い、その存在を折に触れて呼び出していただきたいのです。

そして、日々の歩みの中で「もう1人の自分」に語りかけ、その声に耳を傾けていただきたい。「もう1人の自分」と対話しながら生きてみることを思い描いていただきたいのです。

それは、多くの方にとって、これまでやったことのないことでしょう。確かな反応を感じられない場合もあるかもしれません。

それでも、私たちの中に「もう1人の自分」が存在することを信じて、共に歩むことを意識していただきたいと思います。それは、きっとあなたのこの1年に新たな歩みをもたらすはずです。

2024.1.1