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時の羅針盤・224

時の羅針盤・224

新たなステージに向かう

高橋佳子


新たなステージに向かう

3年近く続いた新型コロナウイルス感染症の混乱の中で、誰の人生も例外なく大きな影響を受けたことは確かでしょう。「まさかの時代」(*1)の圧迫の中で、人々の心身は自分では気づかなくても、思いのほか傷つき、弱っていたと思います。

行動すること、外に出かけて人と関わること、集まること、人と何かを一緒にすること……。こうしたことをいくつも断念する日々が続きました。人間にとって、自由に行動できることがどれほど大切なことなのか。そして、出会いたいときに人と出会い、関わりたいときに関われることが、どれほどの恩恵なのか。多くの人が、そのことに改めて気づいたのではないでしょうか。

それだけに、私たちがこの期間にあきらめてしまったこと、見失ってしまったことは少なくありません。

ようやく感染症の勢いも収まり、その出口が見え始めた今、私たちは負の連鎖を抜け出して、新たな歩みを始めるときを迎えています。それは、かつてに戻ることを意味するのではありません。私たちは、この試練を経験したからこそ、かつて以上の新たなステージに向かわなければならないということではないでしょうか。

失ったものを取り戻す

私たちがこの不活性な3年近くの間に手放し、失ってしまったもの──。それは、私たちが生命体として抱いている活力であり、その活力をベースにした前向きで積極的な気持ちや行動力と言えるでしょう。

内側に閉じこもった生活は、行動だけではなく、心を重く閉ざすことにつながりました。人々は自分のエネルギーを外へ外へと広げてゆくことに背を向け、新たに何かを成し遂げようとする意欲や意志を大きく損なうことになってしまったのではないでしょうか。そしてそれは、結果的に、私たちがもっとも大切にすべきものを失うことにつながっていたのではないでしょうか。その「もっとも大切にすべきもの」とは、私たち自身そのもの、私たちの人生そのものです。

このような喪失を乗り越えて、私たちは今、自分を取り戻し、人生を取り戻して、新たなステージに向かってゆこうとしているのです。

今年、共同体の「グローバル・ジェネシスプロジェクト研鑽」と「生活実践」で取り組んできた「GO! GO! ウォーク」(*2)は、そのための土台をつくる取り組みと言ってもよいものです。まず、毎日、歩くことで自分のエネルギーを燃やし、体力をつけてゆきます。身体を動かすことは、心を動かすことに通じます。さらには、その取り組みを家族や仲間と一緒に行うことでつながりや絆を深めてゆく──。

この11月号が皆さんの手元に届く頃には、「GO! GO! ウォーク」自体の期間も残り3週間あまりとなりますが、あなたにとって、「GO! GO! ウォーク」の取り組みはいかがだったでしょう。

絆の力を全開して

私たちが向かう新たなステージのさらなる土台は、まさに人間が抱いている個の力のみならず、「GO! GO! ウォーク」が引き出すつながりの力、絆の力です。

私たちの存在は、そのつながりの力、絆の力と切っても切れない関係にあります。私たちの多くは、家族という絆に支えられて自分の始まりの時期を過ごします。その後は友人たちや知人など、多くの人々とのつながりの中で成長し、大人になってきました。そして、今、志を共有する多くの仲間との絆にどれほど支えられていることでしょう。

それだけではありません。私たちは、宇宙の子どもです。この世界に存在する森羅万象、万生万物はもともと孤立した存在ではなく、縦横無尽につながり、分かちがたい絆で結ばれた存在であり、私たちの中には、その限りないつながりの力、絆の力が流れ込んでいるのです。

私たちは1人で生きているように思えても、1人でできることなど、実は何1つありません。私たちが立って歩くことができるのも、累々(るいるい)たる生命の歴史と宇宙を調和する法則が支えているからです。私たちのすべての行動は、限りないつながりの上にあるのです。

つまり、私たちの中には、そのつながりの力、絆の力が流れ込んでいて、そのつながりの力、絆の力を呼び出して、響き合うことができる──。今月は、ぜひ、そのつながりのこと、絆のことを想いながら過ごしていただきたいと思います。

2022.10.26

〈編集部註〉

*1 まさかの時代

私たちが生きているのは「まさかの時代」──。「この時代に、まさかこんなことが……」と思うことが現実になってしまう。何が起こるかわからない、何が起こっても不思議ではない、予測不能の時代なのです。
(著書『2つの扉』16ページより引用)

*2 GO! GO! ウォーク

「アフターコロナの世界の中で会員お1人お1人が心身の健康を保ち、魂の願いを生きることができるように──」、そのように願われた高橋先生が、会員の私たちのためにご用意くださったGLAオリジナルの健康増進プログラムです。先生は、2022年の世代別セミナーで「八ヶ岳いのちの里 GO! GO! ウォーク」を企画されたのち、この取り組みを私たちが日々の生活の中で継続的に行うことができるように、「GO! GO! ウォーク」セカンドシーズンを考案されました(2022年9月18日[日]〜11月27日[日]、対象:第29次グローバル・ジェネシスプロジェクト[GGP]研鑽メンバー、2022生活実践メンバーほか)。「GO! GO! ウォーク」は、単に歩くだけではなく、①祈りで始まり、祈りで終わる──神理のライフスタイル、②先生が考案されたオリジナルアプリで実践、③心身の健康増進とともに、人とのつながりが生まれる──という3つの特徴を備えています。