

プロフィール:
現在、奈良県の吉野町で創業嘉永4年の老舗菓子店の4代目主人を務める村山さん。生まれたときから跡継ぎ養子として大切に
育てられた境遇の中で、気がつくと、自分中心に生きることが自然になっていた。様々な挫折や試練、また地元の老舗としての苦悩の中で、
GLAと出会い、人間に対する深い想いと真摯な生き方を知ることになる。
奈良の吉野山は、春は桜、秋は紅葉の名所として知られ、世界遺産にも登録されている国立公園の
一部です。村山さんは、その吉野にある創業160年の人気菓子店の4代目ご主人。
特産の吉野葛(くず)を原料にした菓子の製造・販売をしています。お店やご家族のこと、地域のこと、
GLAで得たかけがえのないものなどについておたずねしました。

私は、とにかくお客さんが好きなんです。皆さん、いろんな所からこの吉野に来られるでしょう。ほんまに喜んでいただくためには、どうしたらいいのか。そればっかり考えています。
そのためには、お菓子の味も、包装紙も、パッケージも、全部のプロセスから一切手を抜けません。お客さんに喜んでいただけるようにすると、お客さんに大切にしてもらえる。そういう「喜びの循環を起こす店にしたい」という願いが、今もずっと続いておるんですよ。
その願いから、5年前、店内に喫茶コーナーをこしらえました。「吉野山に来られる方に、少しゆっくり座っていただいて、出会いのときもあったらええな」と思ったんです。その場で、地元の吉野葛のお菓子を召し上がってもらい、喜んでもらうことがまた、地元のためにも役立てばいいなと思っています。
吉野は、離れ小島みたいな山の上に村があって、家の戸数も300軒以内。昔のまんまで、顔ぶれもそう変わってない。そんな土地柄で、私の家は地域の小学校や中学校、そして消防団や青年団などの組織に、代々携わっています。私も、いくつもの役員を兼ねているので、集まりや会議に出ることが多く、いろんな問題に直面しますが、高橋先生のおっしゃる「問題を誰かのせいにするのではなく、原因をみんなで見つめよう」という姿勢で取り組み、みんなの気持ちが自然にまとまるよう努力しています。


今までお菓子の新製品はたくさん作ったんですが、失敗も随分としましたわ。それでわかってきたことは、「自分の好みを人に押しつけていた」ということです。
「今、皆さんが求めているものはどういうものかな」という視点が私になかったんですわ。その視点がない間は、何をつくっても全部失敗でした。
皆さんにとって本当に大切なものは何なのか、それをしっかりと受けとめる。価格や味などすべてにおいて「ああ、いいね!」と言ってもらえるように、お客さんが求めておられるものへこちらから真剣にアクセスする。どこまでも追求してアプローチする。それをやったときに、お蔭様で、すごくヒットした商品ができたんです。

生まれたときから養子として迎え入れられ、跡取りとして大切に
育てられました村山さん。気がついたら、自分中心に生きることが
自然になってしまっていたそうです。
ほんまに恥ずかしい話なんやけど、「周りの人間はすべて自分のためにある。何でも自分の思い通りになる」と思っていました。13歳の頃、自分は「もらいっ子だ」と出生の秘密を知って大変なショックを受けるんですが、父親からは、とにかく「何でも全部自分でやれ」と厳しく言われて、自分中心の生き方は変わりませんでした。
大人になって店を継ぐようになっても、最初はひどかったんです。「みんな自分の道具や」って思っていたんですよ。家内も、成長した息子も、息子の嫁も、私が中心で、私の表現の道具……。我ながらひどいもんでしたわ。
子どもにも、そのように接していましたので、なかなかうまくいきませんでした。「親父は自分の好きなようにしたらいいやないか。俺は知らん」というようなこともありましたし。
でも、高橋先生に出会い、「魂の学」を学ぶ中で、「ああ、この人はこういう考え方をしてるんか、こういう気持ちでいるんか」と、相手の考えや気持ちを受け取ることができるようになってきたんです。最初は「相手の想いを大切にする」ということがわからんかったけれども、それがわかってからは、まわりに相談ができるようになってきたんですわ。
まずは「私が変わります」という気持ちで、人への想いやものの言い方、行いを振り返り、先生の教えてくださった「菩提心」を持って人に接してゆく鍛錬をさせてもらいました。
そして、私が息子に相談したら、今度は息子が私に相談に来てくれました。息子の嫁も実の娘みたいに思えてきましたし、「この人がいてくれるからこそ、すべてが無事にいく」と感じられてきました。そして、「息子がいてくれるからこそ仕事がうまいこといく、家内がおってくれるからこそうまくいく」と。だから、「一人ひとりが、本当に魂としてかけがえのない大切な存在」という受けとめ方ができるように、先生によって導かれたんです。



今、店は息子が経営していますが、息子を見守ることで、私は「見守る」ということの本当の意味を勉強させてもらっているところなんです。息子が持っている可能性が十分に花開くように、見守るという姿勢を大切にしたいと思っています。
一般企業でも同じですわ。そこには人間関係も絡んでくるでしょう。高橋先生の「魂の学」は、そこでもすごく力を発揮しますわ。何を願い、どのようなヴィジョンを持って、誰と一緒に、具体的に何をいつまでに具現するか、そこをしっかり押さえて上司も部下も全体を見つめながら歩んでゆける。それが本当の仕事のやりがいや、生きる意味につながります。
「人間が大好き」――この想いを伝えてゆきたい
村山さんは、お話の最後にこう語ってくれました。
「GLAの会員になってうれしいことの一つは、『すべての出会いや事態には意味が孕まれている』というまなざしを頂いたことですね。そして、人が好きになったことですわ。今は、嫌いな人がいません。『この方の可能性、素晴らしいところはどんなところかな』と、それを見てゆく。同時に、その可能性を阻んでいるものも見えるから、それを共に超えてゆきたいと思う。だから今、人間が大好きなんです。この想いを一人でも多くの人に伝えたいですわ」