私が孤独のつらさから救われたように、悩み苦しむ方々へ、自分が変われることを伝えたい。

北嶋 慶子(仮名)

プロフィール:

幼い頃から人づき合いが苦手で、学生時代は引きこもりに。その後、GLAと出会い、新たな生き方を学んで自己の解放と成長を体験。
銀行勤務を経て、現在は、これまでの体験を生かし、病院で精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)として活躍中。

北嶋さんは、精神保健福祉士として多忙な毎日を送っています。
精神保健福祉士は、精神科の患者さんが抱える生活問題の解決や、社会参加に向けての支援を通して、
その人にふさわしいライフスタイルの実現を援助する仕事です。北嶋さんに、現在の仕事に就くまでの
経緯や、GLAとの出会いについてうかがいました。

北嶋 慶子(仮名)

北嶋 慶子(仮名)

患者さんの気持ちを受けとめて
共有できる喜び

の仕事は、入院されている方のいろいろな悩みを聞き、解決のお手伝いをする仕事ですが、「一体どうやって解決したらいいんだろう?」って悩むことも多いんですね。でも、患者さんの悩み、苦しみを共有させていただくことは、私にとっては喜びでもあるんです。まして、患者さんが問題を解決して退院し、新しい生活に踏み出されるときは、自分のことのようにうれしくなりますね。

えば、「外の世界は怖い。絶対退院したくない」と言って、10代の頃から40年近くも病院から一歩も出たことのない患者さんがいたんです。私は、その方に何が不安なのかを聞いては、「それはこうだから大丈夫」とか言っていたんですね。でも、あるとき、説得しようとしている自分に気づいて、「患者さんの中に答えはある。それを一緒に聞かせてほしい」という気持ちで聞き続けるようにしたんです。そうするうちに、患者さんの不安な思いが整理されていったみたいで、「外に出てみるのもよいかも」という気持ちがご自分の中にあることに気づかれたんですね。そして、「ちょっと頑張ってみたい。外で暮らしてみようかな」って言われて、ついに定期外泊するまでに快復されました。この間も、外から戻って来ると、とても明るい表情で「ほんとは、こうしたかったみたい」って言われて、私もすごくうれしかったです。

人には変わることができる
無限の可能性がある

者さん本人も周りの人も、「無理」と思っていたのが、変わってゆかれる。「この方にはこういう素晴らしい面があり、こんな可能性の光が秘められていたんだ」とすごく感動するときがあります。「人間は、関わる人の縁によって変わることができる、眠っている無限の可能性がある」って実感するんですね。

かに、精神科の現実は重いものがあるのですが、私は、患者さんたちとの出会いが喜びなんです。接していて、自分も心を開くことができますし。患者さんは大切な仲間であり、友達っていう感覚なんですね。患者さんって実はすごく優しいんですよ。ときに、仕事が大変で葛藤しているときなど、それを察するように私のところにそっと寄ってきて、温かい言葉をかけてくれたりするんです。患者さんに会うと逆に癒されて、元気をもらっちゃうんですよね。……
北嶋 慶子(仮名)

人との関わりが苦手だった過去

は、私は、物心ついたときから、人との関わりが苦手でした。家族関係でずっと悩み、中学、高校時代は「人とどうつき合えばいいんだろう」と悩みました。大学の3、4年生頃には引きこもりになったこともありました。
んなとき、たまたま大学の近くの眼科にかかったんです。そのお医者さんはGLAの会員でした。不思議なんですが、なぜかその眼科の先生に父との関わりで悩んでいることをお話ししたんです。そうしたら、その先生が「心と現実の世界はつながっている」って話してくださり、すごく衝撃を受けたんです。だって「私は父に嫌われているし、どんなに努力したって駄目」と思っていたから。でも「まず自分から心を開いて挨拶したり、関わってみたら」って言われて、半信半疑でそのように父と接してみると、ぎくしゃくしていた関係がいい方へ変わっていったんですね。

高橋先生の講演会に参加し、
GLAで本当の友を得た

その後、銀行に就職した北嶋さんは、高橋先生の講演会に参加し、深い感銘を受けます。

も、まだ人間関係に自信がなくて、就職のときは「銀行だったら、事務的に人と関われば済むのかな」って、銀行に就職しました。高橋先生の講演会に行ったのは、その頃でした。すごく感動したんですよね! 「自分にも希望が持てるんじゃないか」って。それまで「自分はもう変わらない」って思っていたのに、「自分も変われるかもしれない」って、涙が出るほど感銘を受けました。それで、講演会があれば、東京、名古屋、京都でも参加して、本当に通い続けました。

北嶋さんは、GLAに入会して「青年鍛練プロジェクト」に熱心に通うようになります。ここで得たものが、新たな人生に歩み出す大きなきっかけになりました。

分の気持ちを受けとめて理解してくれる友達って、それまでの人生の中でいなかったんですね。でも、GLAに入って、青年鍛錬プロジェクトの場で初めて本当に自分の気持ちを理解してくれる友達ができました。
う、毎日が発見の連続でしたね。「人は自分を嫌っているのかと思ったけど、そうじゃなかったんだ!」「自分が変われば世界は変わるんだ!」って、まるで世界についている覆いが一枚一枚はがれてゆくみたいに、「世界ってこうだったんだ!」って。プロジェクトの中で人との関わり方を学び、職場に行って実際に人と関わると、また新しい可能性が開かれてゆくんです。

北嶋 慶子(仮名)
北嶋 慶子(仮名)

同じ問題を抱える人への想いから、
精神保健福祉士へ

行には事務で入ったのに、その後、窓口業務になり、1日に何百人ものお客さんがみえて、最初はもう緊張の連続でした。でも、プロジェクトで鍛えられたのか、だんだん人と関わるのが楽しくなってきたんですね。
そのうち、窓口でお客様の相談に乗ったりするようになって、「自分が精神的に苦しんでいたときに、こんなふうに相談に乗ってくれる人がいたらなあ」と、だんだんそんな気持ちが湧いてきたんです。そして、「以前の私のように、精神的に苦しんでいる人に関わりたい」という想いがどんどん強くなっていきました。
かつて私はすごく孤独でした。その自分と同じような人たちが、心を開いて相談できる友達のような存在になりたいと、自分のめざす未来が見えてきたんですね。そんなとき、精神保健福祉士という仕事があることを知り、資格を取るために退職し、学校へ行くことにしました。今、この仕事を通じて強く感じるのは、「悩んでいる患者さんの現実と、援助する側の心は密接につながっている」ということです。援助する側の想いが変わると、患者さんも変わってゆかれる。これは、実は誰との関係でも言えることなんだと、改めてそんな想いを強くしています。

答えはその人自身が持っている

嶋さんが日々仕事で実感するのは、「援助する側が変われば、必ず患者さんも変わってくる」ことだと言います。援助する側は、つい上から関わって答えを出してしまいがちですが、北嶋さんは自らの体験から「答えはその人が持っています。その人がどういう解答を見つけるかを聞かせてもらいたいという気持ちで接すると、ほんとうに答えが出てくるんです」と語られます。患者さんと一緒に、その方の中にある答えを見つけることが、うれしくて仕方がないご様子でした。